「最近、来場者数が伸び悩んでいる」「昔ながらの広告では効果が感じられない」
多くのゴルフ場経営者様が、同様の課題を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
バブル期に築かれたビジネスモデルや集客手法が、もはや現代の市場では通用しなくなりつつある――。
まずは、業界を取り巻く現状から見ていきましょう。
日本のゴルフ市場は、1990年代をピークに縮小傾向にあると言われています。
しかし、一方でデータを見ると新たな潮流も生まれています。
帝国データバンクの調査によれば、2021年度のゴルフ場経営会社の業績は、売上高が前年度比11.1%増、当期純利益は約30倍増と顕著な回復を見せました。
これは、コロナ禍をきっかけにゴルフが「密を避けられるレジャー」として再評価され、新たなプレーヤー層が流入したことを示唆しています。
この変化の波を捉え、持続的な成長を遂げるためには、過去の成功体験に固執するのではなく、現代の顧客ニーズに合わせた新しい集客戦略へと舵を切ることが不可欠です。
かつてのゴルフ場の主役は、企業の接待利用や中高年の男性会員でした。
しかし、その構図も変わりつつあります。
新たに市場に参入してきたのは、これまでゴルフに馴染みの薄かった若者、女性、そしてファミリー層です。
彼らがゴルフ場に求めるものは、必ずしもスコアだけではありません。
こうした多様なニーズに応えられなければ、せっかく興味を持ってくれた新しい顧客層をみすみす逃すことになります。
伝統や格式を重んじることも大切ですが、それだけでは新しい時代の「選ばれるゴルフ場」にはなれないのです。
多くのゴルフ場が、集客を大手ポータルサイトに依存しているのが実情です。
確かに、ポータルサイトは一定の集客力があり、短期的な空き枠の解消には役立ちます。しかし、その依存には大きなリスクが伴います。
一つは、熾烈な価格競争です。ポータルサイト上では、近隣のゴルフ場と横並びで比較されるため、どうしても価格で勝負せざるを得なくなります。割引合戦は利益率を圧迫し、従業員の疲弊を招き、ひいてはコースメンテナンスやサービスの質の低下に繋がりかねません。
もう一つのリスクは、自社のブランド価値が毀損されることです。
ポータルサイト経由の顧客は、「〇〇ゴルフ場」のファンではなく、「安くプレーできる場所」を探していることが多いでしょう。
これでは、リピーターの育成は難しく、いつまでも自転車操業から抜け出せないのです。自社のウェブサイトや独自の予約チャネルを持たず、顧客情報をポータルサイトに握られている状態は、経営の根幹を揺るがしかねない危険な状態と言えます。
これからのゴルフ場経営で成功を収める鍵は、ゴルフを「プレーするだけの場所」から、「特別な一日を過ごすための体験を提供する場所」へと昇華させることにあります。
例えば、地元の新鮮な食材をふんだんに使ったレストラン、プレー後に汗を流せる天然温泉、息をのむような絶景を楽しめるテラス、子供が遊べるキッズスペースなど、ゴルフプレー以外の付加価値がいかに魅力的であるかが、他のゴルフ場との決定的な差別化要因となります。
「あのゴルフ場は、食事が美味しいから」「家族でのんびりできるから」――。
そうした「プレー以外の価値」が口コミを生み、新たな顧客を呼び込み、リピーターを育てる好循環の原動力となるのです。
「新しい集客戦略が必要なのは分かったが、何から手をつければいいのか…」
そうお考えの経営者様のために、ここでは明日からでも実践可能な、集客の土台となる基本的な戦略を「デジタル」と「オフライン」に分けて具体的にご紹介します。
現代において、ゴルフ場の公式Webサイトは、単なるパンフレットではありません。それはゴルフ場の「顔」であり、顧客との最初の接点となる最も重要なメディアです。コースの魅力、料金プラン、イベント情報、レストランのメニュー、そして予約システムまで、顧客が求める情報が分かりやすく整理され、スマートフォンでも快適に閲覧できるデザインは必須条件です。
さらに、Webサイトと両輪で活用したいのがSNSです。
美しいコースの風景、おしゃれなクラブハウス、美味しそうなランチなどを写真やショート動画(リール)で発信。視覚的な魅力で、特に若者や女性の「行ってみたい」という気持ちを喚起します。ハッシュタグの活用も重要です。
友だち登録してくれた顧客に対し、限定クーポンやイベント情報を直接配信できます。リピート促進に絶大な効果を発揮するほか、LINE経由での直接予約システムを導入すれば、ポータルサイトに支払う手数料の削減にも繋がります。
これらのデジタルツールは、いわば自社でコントロールできる「メディア」です。ポータルサイトに依存せず、自社の魅力を直接顧客に届け、ファンを育成するための強力な武器となります。
「近くのゴルフ場」とスマートフォンで検索した時、検索結果の上位に表示される地図情報。これがMEO(Map Engine Optimization)、通称Googleマップ対策です。無料で利用できる「Googleビジネスプロフィール」に自社の情報を登録・最適化するだけで、近隣にいる見込み顧客に対して絶大なアピールができます。
営業時間、電話番号、Webサイトへのリンクはもちろん、魅力的な写真や最新のイベント情報を投稿し、お客様からの口コミに丁寧に返信することが重要です。特に、地元のお客様はリピーターになってくれる可能性が高い優良顧客。このMEO対策を疎かにすることは、みすみす優良顧客を逃しているのと同じことなのです。
新しい顧客層を開拓するためには、ゴルフ場側から「きっかけ」を提供することが不可欠です。プレーのハードルを下げ、ゴルフの楽しさを知ってもらうためのイベントを企画しましょう。
クラブやシューズの無料レンタル、プロによる簡単なレッスンなどをセットにしたプラン。「手ぶらでOK」という手軽さが、最初の一歩を後押しします。
おしゃれなランチ付きの割引プランや、パウダールームのアメニティを充実させるだけでも特別感が生まれます。ヨガやアロマテラピーなど、ゴルフ以外の要素と組み合わせるのも効果的です。
「ゴルコン(ゴルフ合コン)」や、学生向け格安練習プランなど、若者が集まりやすいテーマを設定。SNSでの拡散を狙ったフォトジェニックな企画も有効です。
これらのイベントは、単発の集客だけでなく、ゴルフ場のファン作りの第一歩となります。「あのゴルフ場でゴルフデビューした」という体験は、お客様にとって忘れられない思い出となり、再訪へと繋がります。
デジタルの時代だからこそ、リアルな場での「体験価値」がより一層重要になります。コースメンテナンスが行き届いているのは当然のこと。その上で、「また来たい」と思わせるプラスアルファの魅力を追求しましょう。
レストランのメニュー刷新はその筆頭です。SNSでシェアしたくなるような「映える」メニューや、地元の特産品を活かしたコース料理は、食事を目当てに来場するお客様を増やす可能性を秘めています。
そして、最終的に顧客満足度を決定づけるのは、スタッフ一人ひとりのおもてなしです。フロントの笑顔、キャディの的確なアドバイス、レストランスタッフの細やかな気配り。そうした血の通ったコミュニケーションが、お客様の心に響き、ポジティブな口コミとなって広がっていきます。従業員教育への投資は、最高の集客施策の一つなのです。
ここでは、国内外で実際に成果を上げているゴルフ場の具体的な取り組みをご紹介します。自社の戦略を考える上でのヒントがきっと見つかるはずです。
多くの国内ゴルフ場が、テクノロジーの力で新たな価値を生み出しています。名門・相模原ゴルフクラブでは、コース内に広域メッシュWi-Fiを導入。これにより、従来FAXで行っていた売店の売上報告がオンライン化されるなど業務が劇的に効率化。同時にお客様もコース内でWi-Fiを利用できるようになり、顧客満足度も向上しました。また、太平洋クラブでは公式アプリを導入し、予約管理や情報発信をスムーズに行い、会員との繋がりを強化。問い合わせ対応にはフォーム作成ツールを導入し、電話対応の時間を大幅に削減するなど、デジタルツールが業務効率化と顧客サービス向上を両立させています。
※参照元:NTT EAST(https://business.ntt-east.co.jp/case/2022/n011/)
千葉県にあるブリストルヒルゴルフクラブは、特に女性からの人気が高いことで知られています。その秘訣は、戦略的なコース設計に加え、徹底的に「非日常感」と「おもてなし」を追求した空間づくりにあります。高級感のあるクラブハウス、契約農家直送の野菜を使ったSNS映えするレストランメニュー、女性限定のコンペやお得なプランの提供など、女性ゴルファーが「ここでプレーしたい」「また来たい」と感じる仕掛けが随所に散りばめられています。プレーだけでなく、空間そのもの、食事、イベントといったトータルでの体験価値を提供することで、口コミが自然発生し、新たな女性客・若者客を惹きつける好循環を生み出しているのです。
※参照元:口コミアカデミー(https://academy.kutikomi.com/news/case_golfcourse/)
アメリカで急成長を遂げたTopgolfは、従来のゴルフ練習場の概念を根底から覆しました。マイクロチップ入りのボールを使い、得点を競うゲーム感覚でゴルフを楽しめるのが特徴。お酒や食事を楽しみながら、仲間と盛り上がれる「ゴルフ×エンターテイメント」という新しい業態を確立したのです。顧客の半数以上がゴルフ未経験者やライト層であり、若者や家族連れで常に賑わっています。Topgolfの成功は、ゴルフを一部の愛好家のためのスポーツから、誰もが気軽に楽しめるソーシャルなアクティビティへと解放した点にあります。この発想は、ゴルフ以外のイベント(音楽ライブ、フードフェスなど)を企画する上でも大きなヒントになります。
国内外の成功事例を見てわかるように、これからのゴルフ場集客の成否を分けるのは、「ゴルフ場DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進です。DXとは、単にデジタルツールを導入することではありません。データとテクノロジーを活用して、ビジネスモデルや業務プロセス、さらには顧客体験そのものを根本から変革することです。
「平日はシニア層が多い」「夏場は若者が増える」といった、支配人の長年の「勘」や「経験」は確かに貴重です。
しかし、それだけでは顧客の姿を正確に捉えることはできません。
こうした問いに、具体的な数値データに基づいて答えられること。それがデータに基づいた顧客理解の第一歩です。正確なデータがあれば、「若者向けプランを強化すべき」「女性客向けのアメニティを充実させよう」といった施策も、より的確かつ効果的に打てるようになります。
ゴルフ場の日常業務は、電話での予約受付、手作業での顧客リスト作成、会計処理など、多くの手作業に支えられています。これらの定型業務にスタッフの貴重な時間が奪われ、本来注力すべきお客様へのおもてなしや、集客のための企画立案がおろそかになっていないでしょうか。
ゴルフ場DXを推進することで、これらの業務の多くを自動化できます。
自動化は単なる効率化ではありません。それは、時間と人的リソースという最も貴重な経営資源を創出し、より付加価値の高い業務へと再配分するための戦略なのです。
DXの最終的な目的は、お客様一人ひとりに合わせた「パーソナライズされた顧客体験」の提供です。
例えば、顧客データを活用することで、以下のようなアプローチが可能になります。
こうした「自分のことを分かってくれている」と感じさせるきめ細やかなコミュニケーションは、お客様のロイヤリティを劇的に高めます。画一的なサービスから脱却し、一人ひとりのお客様を「個」として大切にするおもてなし。それこそが、DXが実現する新しい顧客体験の形であり、リピーターを育成する最強の武器となるのです。
「DXの重要性は理解できた。しかし、具体的にどう進めればいいのか?」
その答えとなるのが、「ゴルフ場基幹システム」の導入です。これは、予約管理、顧客管理(CRM)、POSレジ(会計)、マーケティング支援など、ゴルフ場運営に必要な機能が統合されたITシステムです。
多くのゴルフ場では、「予約はポータルサイトの管理画面」「顧客リストはExcel」「会計は専用レジ」というように、重要なデータがバラバラに管理されています。これでは、データを横断的に分析し、経営に活かすことは困難です。
ゴルフ場基幹システムは、これらの散在するデータを一つのプラットフォームに集約します。いつ、誰が、どのプランで予約し、来場し、レストランで何を注文し、いくら支払ったのか。そうした顧客の行動履歴が一元管理されることで、お客様の姿を立体的かつ正確に把握できるようになります。
データの一元管理が実現すると、次はいよいよその活用です。優れた基幹システムには、蓄積されたデータを基に、効果的なマーケティング施策を半自動的に実行する機能が備わっています。
これまで手作業では膨大な手間がかかっていたターゲットマーケティングが、簡単かつ効率的に実行できるようになります。勘や経験に頼るのではなく、データという客観的な根拠に基づいて、無駄なく効果的なアプローチが可能になるのです。
基幹システムの導入による最大のメリットの一つは、業務効率化によって創出された時間を、本来最も注力すべき「おもてなし」に使えるようになることです。
電話対応や手作業でのデータ入力に追われる時間が減れば、スタッフはフロントでのお客様との会話を増やしたり、コースの細やかな変化に気を配ったり、より良いサービスのためのアイデアを考えたりすることができます。テクノロジーに任せられる仕事は任せ、人にしかできない温かみのあるサービスに集中する。それこそが、お客様の満足度を最大化し、選ばれるゴルフ場になるための王道です。基幹システムは、その理想を実現するための、最も確実な投資と言えるでしょう。
A. はい、可能です。ゴルフ場基幹システムの多くは、ITの専門知識がない方でも直感的に操作できるよう、分かりやすいインターフェースで設計されています。また、導入時の初期設定や操作トレーニング、導入後の電話やメールでのサポートなど、ベンダー(提供会社)による手厚いサポート体制が整っているのが一般的です。
A. コストは、ゴルフ場の規模や必要な機能、クラウド型かオンプレミス型かといったシステムの形態によって大きく異なります。月額数万円から利用できるサービスもあれば、大規模なカスタマイズを伴う場合は数百万円以上になることもあります。 重要なのは、単なる「費用」として捉えるのではなく、「投資」として考えることです。 システムの導入によって、ポータルサイトへの手数料がどれだけ削減できるか、業務効率化で人件費がどれだけ圧縮できるか、新たな集客で売上がどれだけ伸びるか、といったROI(投資対効果)の視点で検討することが不可欠です。
多くのベンダーが無料相談やデモンストレーションを行っているので、気になったシステムのトライアルを利用してみるのもいいでしょう。
A. まずは、自社の課題を明確にすることから始めましょう。 「若者の来場者を増やしたい」「平日の稼働率をあと10%上げたい」「リピート率を改善したい」など、具体的で測定可能な目標を設定することが第一歩です。
その上で、現状の業務フローやデータの管理方法を洗い出し、「どこにボトルネックがあるのか」「何が目標達成を妨げているのか」を分析します。
課題と目標が明確になれば、それを解決するためにどのような機能が必要かが見えてきます。その上でゴルフ場基幹システムの導入を検討すれば、自社に最適なシステムを選び、導入後の成功確率を格段に高めることができます。
本記事では、ゴルフ場の集客における現状の課題から、国内外の成功事例、そしてDXという解決策までを解説してきました。これからのゴルフ場が集客競争を勝ち抜くためのポイントは、以下の3つに集約されます。
ゴルフ業界を取り巻く環境は、確かに大きく変化しています。
しかし、その変化は危機であると同時に、新たな成長のチャンスでもあります。
これまでゴルフに縁のなかった層が市場に参入し、テクノロジーが旧来の非効率な業務を劇的に改善してくれる時代が到来したのです。
この変化の波に乗り、持続可能な経営を実現するための羅針盤となるのが「ゴルフ場DX」であり、そのエンジンとなるのが「ゴルフ場基幹システム」です。
システムへの投資は、未来への投資です。業務を効率化し、スタッフがより創造的で付加価値の高い「おもてなし」に集中できる環境を整えること。そして、データを活用してお客様一人ひとりと向き合い、最高の体験を提供すること。
その先にこそ、お客様から永く愛され、厳しい時代を勝ち抜く「選ばれるゴルフ場」への道が拓けているはずです。
シン・クラブメイトは、40年以上にわたりゴルフ場運営の支援を行い、老舗ゴルフ場からも信頼される「富士テレコム」が提供するクラウド型のゴルフ場基幹システムです。
ゴルフ場の実情を熟知した企業が構築した、ゴルフ場が真に求める機能を搭載したシステムを導入し、他社との差別化を図りましょう!
従業員‧スタッフ向けの営業状況把握のための画⾯と、経営者‧⽀配⼈向けの集客・売上着地予測の画⾯をそれぞれ⽤意。⽴場によっては不要となる情報が表⽰されず、使いやすくなっています。
担当営業‧専任SE‧専任インストラクターなど、業種特化したゴルフ場様専任チームが導⼊から稼働まで⽀援。遠隔操作によるサポートも可能です。
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